世界5位の錦織圭(26=日清食品)が完敗した。元世界王者で同2位のジョコビッチ(セルビア)に1-6、1-6の66分で敗退し、今季の公式戦全日程を終了した。敗れたが、3年連続で最終戦出場。今年は自身最多の年間58勝を挙げ、8月のリオデジャネイロ五輪では、日本に96年ぶりのメダルをもたらした。年末最終ランクとしては、14年に並ぶ自己最高の5位も確定。21日に日本に帰国する。

 手も足も出ないとは、こういうことを言うのだろう。錦織は武器のフォアが全く入らず、どんどんミスが増える絶不調。その負の連鎖で相手は上昇気流に乗り、あっという間に差は開いた。「何1つできることなく終わった。とてつもなく悪かった」。失望感だけが漂った。

 前日の1次リーグ最終戦。チリッチに逆転負けをした第2セットから、調子は急降下した。「攻めなかったり、ボールを置きにいったり。メンタル的なことが大きかった」。今年最後の疲労もたまり、この日は「反応が悪かった。でも、今日の彼が強すぎた」。わずか2ゲームしか奪えなかった。

 3年連続で、年末上位8人しか出場できない最終戦に駒を進めた。“死の組”といわれた1次リーグA組で、全米覇者のバブリンカを破る絶好のスタート。最強といわれたマリーも3時間20分の死闘で追い詰めた。普通の状態でのテニスは、いつトップ3に入ってもおかしくない。

 課題は明白だ。錦織を除く今回出場した7人の平均身長は約191センチ。178センチの錦織とは13センチも違う。小柄な体格ゆえに全身を使い立ち向かえば、疲労も早くケガも多い。試合中、大会の勝ち上がりで、そのバランスを、どのように取っていくかが来年の鍵を握る。【吉松忠弘】