世代交代にはまだ早い。佐藤冴香(25=ヨネックス、常盤木学園高出身)が鈴木温子(25)に2-1(17-21、21-14、20-13)で勝利し、2年連続で決勝進出を決めた。宮城出身のサウスポーはロンドン五輪代表を経験するも、リオ五輪では代表落ち。高校時代にしのぎを削った同学年の高橋礼華(26=聖ウルスラ学院英智出身)の活躍などを発奮材料に、再び勝ち進んできた。決勝の相手は日本ランキング2位の山口茜(19)。バドミントン界期待の若手を倒して、初優勝をつかむ。

 気迫で上回った。第3ゲームの終盤。点差を広げてさらに前に出た。ネット付近で浮いたシャトルをたたき付けるようにねじ込む。たじろぐような重圧をかけて、連続得点。一気に試合を決めた。「お互いを知っているので相当やりづらかった。正直ホッとしています。立ち上がりは緊張してシャトルをうまく扱えなかった。2ゲーム目から思い切りやれた」と同僚対決を制し、笑みが浮かんだ。

 ライバルの活躍を刺激にする。宮城・常盤木学園出身。同学年の聖ウルスラ学院英智には「タカマツ」の高橋がいた。高校時代に戦った相手は今夏のリオ五輪で金メダルを獲得。テレビ越しに見る姿に「同い年で、宮城からずっとやってきたし、良かった。でも一緒に出て、戦いたかった」と祝福の気持ちとともに悔しさを覚えた。

 “再起”を期す。現在も日本代表女子Aチームに在籍。しかし、シングルスの日本ランキングは3位で、ロンドン五輪に続く代表の座を逃した。上位2人はリオ五輪銅メダリストの奥原希望(21)、リオ五輪代表だった山口。2人が準々決勝で戦った試合も観戦し「すごい悔しかったです」と心をたぎらせた。決勝の相手は伸び盛りの山口。「東京五輪を目指すには(山口)茜ちゃんを倒さないと。倒して弾みをつけたい」と勝って、再び国際大会へとつなげたいと意気込む。

 2年連続でつかんだ決勝の舞台。「自分は格下なんで、思いっきり向かっていくだけです」と年下相手でも気持ちは緩まない。挑戦者として挑む。【島根純】