来年2月の欧州国際大会に向けた柔道男子日本代表の強化合宿が23日、都内で行われ、リオデジャネイロ五輪90キロ級金メダルのベイカー茉秋(22=東海大)と井上康生監督(38)が来年以降の新ルールについて言及した。

 新ルールでは、試合時間が5分から4分に短縮。指導3で反則負けとなり、有効が廃止されて、一本と技ありだけになる。ベイカーは試合時間の短縮が一番影響が出ると指摘。「この1分の差は大きい。外国人にとって有利だと思う」と持論を展開した上で、「ルール内でやるしかいない。練習メニューを変えるなどすれば順応できるのでは」と前向きに語った。日本人選手はスタミナがあって後半に強いとされ、外国人選手はパワーはあるが後半に体力が落ちる傾向にある。「恐らく、組み手うんぬんではなく、投げにいく試合になる。投げ技や守りの部分を強化しないといけない。見る人にとっては、面白くなると思う」。

 井上監督は今月9日に発表された、国際柔道連盟(IJF)のHPの文面を確認して「正直、文章だけでは分からない。来年1月にIJFのルールセミナーがあるので、その状況を見た上で対策を判断したい」と話した。

 現状、新ルールの不透明な部分もあるが、根本的な柔道は変わらないと指摘する。「組んで、投げて、押さえ込む。どんなにルールが変わろうが、この軸がぶれてはいけない。高い技術を必要とし、バランスの取れた選手が求められる」。

 井上監督は男子代表の強化にあたり、毎年テーマとなる言葉を発表してきた。13年は総合力、14年は変化と進化、15年は克己、今年は開花。リオ五輪もあり「開花」の年でもあった今年を振り返り、2つの言葉で表現した。

 井上監督 1つ目は「幸」。リオ五輪という最高の舞台に向けて4年間戦えた。2つ目は「悔」。リオ五輪で全階級メダルは取れたが、個々の能力をもっと引き出して、メダルの色を変えることが出来たのではと思う。

 「リオ五輪は過去のこと」。井上監督はこの日、こう言った。既に20年東京五輪に向けた強化は始まっている。ルールは変われど「最強で最高の集団」をつくる思いは変わらない。井上ジャパンが新たな船出を切った。