世界2位で、リオデジャネイロ・パラリンピック車いす女子シングルス銅メダルの上地結衣(22=エイベックス)が2年ぶり3度目の決勝に進んだ。同8位のシュカー(英国)に6-3、6-2で勝利。自身初の全豪シングルス優勝を懸けた決勝は、同1位のグリフィユン(オランダ)と対戦する。

 念願の全豪シングルス優勝に、3度目の王手だ。第1セット3オールまでは競ったが、そこから4ゲームを連取。一気に主導権を握り「相手がよく見えていた。落ち着いてプレーができた」とストレートで快勝。リオ・パラリンピック以降、初の4大大会で決勝進出だ。

 昨年、ウィンブルドンに初めてシングルスの種目ができた。それを除けば、車いすテニスの4大大会シングルスは全豪、全仏、全米が歴史を重ねており、上地は全豪だけが無冠。「勝ちたいです」と気持ちを込める。ただ「勝ちを意識するといつも良くない」と、冷静に挑む気持ちだ。

 リオが終わり、東京に向け、新兵器“回転”サーブも模索中だ。サーブで、トスを上げた後、車いすの車輪を1回転させ前進しながら球を打つ。「外国選手に比べ手が短い。動いて打てば、その後の守備範囲が広がる」。昨年12月のマスターズで挑戦したが、連盟から待ったがかかった。規則では「サーブを打つ前には静止し、その後、(車輪を)ワンプッシュまでできる」とある。非常に判断が難しいため、今大会では封印。しかし、そのサーブの練習で、動きがスムーズになり、オフには体幹を鍛えたことで、ショットが安定した。決勝の相手とは過去13勝13敗。雌雄を決する時が来た。【吉松忠弘】

 ◆WOWOW放送予定 27日午前10時~、午後1時55分~、午後5時20分~、WOWOWライブ。車いすテニス男女シングルス準決勝、男子シングルス準決勝ほか。車いすテニスを除き生中継。放送時間変更の場合あり。