小平奈緒(30=相沢病院)が日本女子初の総合優勝を飾った。最終日は500メートルで36秒80の1位、1000メートルで1分13秒17の3位。両種目とも日本新記録でトップだった第1日の結果と合わせ、世界新の総合得点146・390点で日本女子初の快挙を達成した。日本勢の総合優勝は83、87年の黒岩彰以来30年ぶり。今季大本命の500メートルは国内外の大会で出場13レース全勝となった。平昌五輪金メダルの最短距離にいることをあらためて証明した。

 最終種目の1000メートルの後、小平は電光掲示板で自らの総合得点を確認した。日本女子初の総合優勝。信州大時代から二人三脚で歩んできた結城匡啓コーチと力強く手を合わせる。30歳のシーズンでの驚異的な飛躍。「他の人と比べたらスロー再生のような競技人生だけれども、着実に1歩を踏んでいる。自分らしい歩き方だと思っている」と快挙の重みをかみしめるように言った。

 来年の五輪会場で行われた10日の世界距離別選手権500メートルでは日本女子初の金メダル。21日までのアジア大会(帯広)では500メートルで五輪連覇中の李に完勝し、1000メートルと2冠を達成した。22日にカルガリー入りする強行軍も苦にせず、3週連続の主要大会で、圧倒的な強さを見せた。「良い形で締めくくれたのは、五輪に絶対につながる。良い記憶はモチベーションになるから」と来年の本番に思いをはせた。

 2年のオランダ留学を経て帰国した今季。序盤から500メートルは連戦連勝が続いた。それでも過去2回の五輪で、大舞台の難しさを痛感した30歳は「勝ち慣れるとスキが生まれる。どこかに課題を見つけないと記録は止まる。普通の人だったら、そんな記録はありえないというところまで意識を持っていかないと」と貪欲に話していた。