世界4位の錦織圭(27=日清食品)が、苦しみながらも6年連続で16強に進出した。元トップ10で同30位のベルダスコ(スペイン)に7-6、6-7、6-1の2時間44分でフルセット勝ち。次戦は同57位のデルボニス(アルゼンチン)と対戦する。

 リードしながらも追いつかれ、追い抜かれる中での苦しい勝利に、錦織はほっとした表情を見せた。左利きのパワーヒッターで球の回転量が多い相手とは過去2勝2敗。ツアー7勝で最高7位の難敵だけに「タフな相手というのは分かっていた。最後、集中して勝てたのは良かった」と振り返った。

 今年は試合中に突然、凡ミスを連発する瞬間がある。錦織も「試合の中でアップダウンはある」と認める。この日も、第1セット4-2で自分のサーブで40-0。しかし、いきなりミスが生まれ、3ゲームを連取された。第2セットも5-3とリード。そこから守りに入り、開き直った相手に逆転された。

 ただ最後、勝ちに結びつけたのは大きい。今大会、世界1位のマリー(英国)、2位のジョコビッチ(セルビア)がケガで欠場。5位のラオニッチ(カナダ)も3回戦を棄権した。下克上も激しく、32人のシードで残っているのは15人だけ。ベルダスコは錦織が準決勝までに対戦する相手で最高位だった。

 悲願のマスターズ大会初優勝に向けて、まずは最初の関門を突破した。波乱の大会に「多少なりともチャンスだが、若い選手も上がってきている」と冷静に話す。1試合1試合、集中を取り戻して、初優勝につなげる。