<フィギュアスケート:GPファイナル>◇2日目◇13日◇韓国・高陽

 SPを2位で終えた前夜、浅田真央(愛知・中京大中京高)は周囲に対し「フリーでは絶対にトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を跳んでみせる」と意欲をみなぎらせていたという。18歳の代名詞とも言うべき大技が接戦で優勝を呼び込んだ。

 3回転半-2回転、そして単発の3回転半をいずれも高く、美しく跳び、ジャッジの加点も引き出した。「攻める気持ちを忘れないことが目標だった。今は達成感がある」。後半に予定していた2連続3回転の1つ目で転倒したが、技術点はライバルを約4点上回る64・57点。今季から得点がアップした3回転半を武器にした「ジャンプの浅田」が「表現力の金妍児」を抑えた。

 今季の初戦で、満足のいく調整法で臨めなかった11月のフランス杯はジャンプが乱れて2位。これを契機に、タチアナ・タラソワ・新コーチと対話を重ねた。前戦のNHK杯の練習でも「アクセルを練習したい」とはっきり訴えた。短時間で集中するロシア式にシフトしつつ、ジャンプの時間も確保。不安は消え、2人の呼吸は試合を重ねるごとに合ってきた。国際大会では初となる2度の3回転半の成功に、コーチも「誇りに思う」と満面の笑みだった。

 金妍児との「別次元」の争いを制し、シニアでの直接対決で3勝2敗とリードした。自己採点は笑顔で「95点」。タイトル以上に、大きな手応えをつかんだ敵地での一戦だった。