2016年夏季五輪招致を目指す東京、シカゴ、リオデジャネイロ、マドリードの候補4都市の開催能力を査定する国際オリンピック委員会(IOC)の評価報告書が2日に公表され、財政面や競技会場で各都市の評価に差がついた。

 東京は政府の財政保証に加え、東京都が積み立てた4000億円の基金が安心感を与え、高評価を得た。政府保証がないシカゴには「リスク」が指摘され、多額の協賛金で開催費用を賄う計画は「野心的ながら達成可能」と評された。リオとマドリードはともに国などの公的支援が評価された。

 一方で、東京は自信を持っていた競技会場でつまずいた形だ。射撃会場以外を半径8キロ圏内に配置したコンパクトさは評価されたが、会場の約3分の2が既存施設とした計画は、IOCの見立てでは「大規模な改修が必要な会場は新設と見なされ、実際には既存は半分程度」と修正された。「33会場のうち23が既存」と認められたマドリードと明暗を分けた。

 ただマドリードは「大会運営への理解度」に疑問が呈されるなど評価は低め。南米初の五輪開催を「社会変革」と「インフラ整備」に結び付けるリオの理念が、予想以上に好意的に受け止められた。

 評価報告書は10月2日のIOC総会(コペンハーゲン)での投票で、投票権を持つIOC委員の判断材料となる。