2016年夏季五輪招致を東京と争う各都市が9月30日、国際オリンピック委員会(IOC)総会が開かれるコペンハーゲンで、要人によるロビー活動を本格化させた。鳩山由紀夫首相の現地入りは総会前日の10月1日夜で、東京は出遅れた格好だ。招致委員会幹部は「うちだけできていない。痛い」と悔しがった。

 30日午後、カメラの放列の中をミシェル・オバマ米大統領夫人がIOC委員が宿泊するホテルに到着した。出身地シカゴの招致委が確保しているスイートルームに直行し、委員との個別会談を開始。競技会場が集中するミシガン湖畔の空撮写真を壁一面に張った部屋で面談したIOC委員は「聡明(そうめい)で話し上手だった。感銘を受けた」と語った。

 リオデジャネイロを強力支援するブラジルのルラ大統領も負けてはいない。30日に到着すると、夜はIOC委員約10人を招いて食事会を主催。招致委のオソリオ事務総長は「明日はIOC委員のためにすべての日程を空けてある」と述べ、個別面談に終日を費やすことを明かした。

 スペインのフアン・カルロス国王もIOC本部ホテル内で委員と会い、マドリード支持を訴えた。30日にチェックインしたある女性IOC委員は「ミシェル夫人、ルラ大統領、(スペインの)ソフィア王妃と既にアポが入っている。東京の関係者とも会うことになるだろう」と話したが、この時点で東京と具体的な約束はなかった。

 勢いのあるリオをシカゴが猛追しているとされる招致レースで、東京は巻き返しの糸口をつかめない。あるIOC委員は「東京は難しくなっている」と話した。