13日まで香港で開催された東アジア大会で日本は過去最多の金メダル62個を獲得した。3年後のロンドン五輪を目指す若手を経験させた競技も多く、日本選手団の沢木啓祐総監督は「トップ選手の強化やジュニア育成が混在した中で、それぞれの戦略を生かせた」と総括した。

 競泳陣の健闘は光った。入江陵介(近大)が男子背泳ぎで、立石諒(慶大)が同平泳ぎでそれぞれ3冠と主力級が実力を発揮し、19種目を制した。オフの冬場に好タイムは出にくいといわれるが、男子100メートル自由形と同400メートルリレーの日本新記録も誕生した。来年「新型高速水着」が禁止されるため、今後は本格的な対応を迫られる。

 陸上は男子1万メートルの竹沢健介(エスビー食品)ら20代前半の世代が奮闘し、前回と同じ金メダル16個を手にした。シーズンオフのために参加選手不足で予選中止が相次ぎ、女子七種競技が日本と韓国の2人だけで実施されるなど、開催意義に疑問を残す種目もあった。

 課題の球技は競り合いで弱さが目立った。U-20(20歳以下)代表で臨んだサッカーは決勝で地元香港にPK戦で敗れ、バスケットボールは男女とも3位だった。北京五輪で開催国枠があった中国が、ロンドン五輪ではアジア予選に戻ってくる。五輪出場へのハードルの高さを予感させた。

 参加9カ国・地域の中で、大会の存在意義はさまざまだ。日中がジュニア大会への移行を目指すほか、春開催の日程変更案も検討される。来年のアジア大会(広州=中国)でメダル量産を狙うダンススポーツなど、非五輪競技の躍進は1つの存在意義を示した。(共同)