柔道の五輪金メダリスト、山下泰裕さん(53=東海大体育学部長)と井上康生さん(32)が21日、エルサレムで子供たちに柔道を指導した。道場にはイスラエルの約30人と、ヨルダン川西岸などから来たパレスチナの約20人が集まった。

 NPO法人「柔道教育ソリダリティー」の活動の一環。理事長を務める山下さんは「イスラエルとパレスチナの子供が組み合って柔道をすること自体に意味がある」と強調した。

 山下さんは1984年のロサンゼルス五輪の男子無差別級決勝で戦ったエジプトのモハメド・ラシュワン選手が、山下さんの痛めた右足をあえて攻めなかったエピソードを紹介。「柔道は人を敬う気持ちをはぐくむスポーツ。道場から家に帰っても、周りの人を敬う気持ちを大切にしてほしい」と語りかけると、子供たちは真剣な表情で聞き入った。

 英国留学中の井上さんは英語で実技指導。乱取りけいこで胸を借りたパレスチナ人のイブラヒム・カマル君(13)は、上は借り物の柔道着、下は短パン姿で「(井上さんは)すごく強かった。将来はパレスチナ代表として五輪に出場したい」と夢を語った。