文部科学省が26日に発表したスポーツ立国戦略を受け、日本オリンピック委員会(JOC)の市原則之専務理事は、国の責務として実施することを打ち出したトップ選手の強化策について「強化の主体はJOCという立場を重んじてほしい。ソフト、ハードとも国が管理するのはよくない」と述べ、国主導となることに懸念を示した。

 各競技団体にはこれまで実際に強化を担ってきたという自負もある。ある団体幹部は「理念は出てきたけど、本当にできるの、と懐疑的にならざるを得ない」と話した。

 一方でスポーツの全般的な普及を目指す日本体協の幹部は「スポーツ庁を設置してもらって、次のステップに踏み出してもらいたい」と期待した。体協は地域スポーツの充実を図ってきただけに「国として総合型クラブを重視してくれるのはありがたい。従前通り、その方向性でやっていく」とした。

 立国戦略が現実離れしているとの声も出た。東京都北区の総合型クラブ「れっどしゃっふる」の鈴木昌之事務局長は、全国にあるクラブの運営基盤の弱さを指摘。「引退したトップアスリートの受け皿になれるクラブは、現状では(文科省が掲げる300カ所の)1割もないのでは」と説明した。