<柔道:全日本選手権>◇29日◇東京・日本武道館

 仙台大教員で同大柔道部コーチの仲田直樹(28)は「一流選手でもないし、プロ野球選手のようにもできないけれど、被災地を代表して全力で戦いました」と話した。

 震災直前、3月6日の東北予選を1位突破して2度目の出場を果たしたが、1回戦で加藤博剛(25=千葉県警)に1本負け。左腕に縫いつけた喪章を触りながら「夢や希望とかいうつもりはないけれど、復興のためにも元気で柔道をやっているところを見せたかった」と言った。

 震災後は道場も使えなくなり、ライフラインも断たれた。「大学の人的被害はなかったけれど、車で海の方へ20~30分も走れば想像を絶する状況がある。自分だけ逃げるわけにはいかなかった」と仙台に残った。

 がれき撤去のボランティアをしながら、走り込み中心のトレーニングで臨んだ大会を終えて「まず、普通の生活を取り戻すこと。東北の人間が明るくやることが一番です」と、復興を目指して話していた。