<テニス・デ杯アジア・オセアニアゾーン1部2回戦:日本2-0中国>◇初日◇6日◇大阪・なみはやドーム

 日本のエースで世界97位の錦織圭(19=ソニー)が、国内代表デビュー戦で日本を王手に導いた。昨年のジャパンオープン・ジュニア優勝者で、同858位の張択(18)の時速250キロ近いサーブに14本のエースを奪われながらも、持ち味の多彩なショットを封印。勝利最優先の我慢のプレーで、ストレート勝ちを収めた。第1試合で添田豪(24)も勝ち、日本は初日2勝で、3回戦進出に残り1勝となった。

 これが「世界」を経験した余裕だろう。張択に弾丸サーブを何本決められても、「エア・ケイ」(跳びながらのフォアハンドショット)を切り替えされても、錦織は冷静さを失わなかった。「(内容よりも)チームのために勝つことが大事だった。負けるなんて思わなかった」。

 未知数の強打者に最初は戸惑いも見られたが、すぐに「粗いしミスも多い」と弱点を見抜いた。普段ならフォアを軸に、ネットダッシュ、ドロップショットなど、多彩なショットで相手を翻弄(ほんろう)するが、この日は安定したストロークとコースをついたサーブでミスを誘った。

 07年のプロ転向以来、大阪は初見参。前回の06年の中国戦の観客はわずか752人だったが、今回は3日間のチケットが前売りで完売。この日は、立ち見席の当日券を販売し、2133人の超満員。あらためて錦織人気の高さをうかがわせた。

 昨年の4月のインド戦で挙げた日本デ杯史上最年少勝利は、敗退が決した後の消化試合だった。この日は3回戦進出に王手をかける貴重な1勝。「緊張感の中で勝てたのが、前回とは全然違う」。世界でもまれた日本の若きエースが、一回り成長したプレーで日本を世界に導く。【吉松忠弘】