<体操:NHK杯>◇初日◇6日◇東京・国立代々木競技場

 ビジュアル系女子大生が、日本体操界初の兄妹同時世界選手権(10月、ロンドン)代表に王手をかけた。日体大4年の田中理恵(21)が4種目合計56・750点で、2次選考会を兼ねた4月の全日本選手権の持ち点との合計113・475点で2位につけた。兄の和仁(24)も男子2位。世界選手権代表は男子6人、女子4人。男女ともに7日に個人総合2回目を行い、上位2人は自動的に代表に決まる。首位は男子が内村航平(20)女子が鶴見虹子(16)。

 最後の種目の平均台で、屈伸2回宙返りの着地を決めると、田中は笑顔で右手を振った。3種目終了時点の3位から2位に浮上。「練習通りにやることだけを考えて臨んだ」と笑った。

 父章二さん(59)が和歌山で体操クラブを運営し、長兄の和仁、次兄の佑典(順大)も16位の体操一家。田中は和歌山北高時代、左足首の遊離軟骨に悩まされていた。一時は体操を辞めることも考えたが、日体大に進学後に手術を受けて、ようやく思うような動きができるようになったという。昨年のNHK杯では和仁とともに重圧に屈して北京五輪代表を逃し「今まで見せたことのないほど悔しがっていた」(章二さん)。その悔しさを今大会にぶつけている。

 4月の全日本選手権で2位となって、今大会は和仁とともにパンフレットの表紙を飾っている。「できれば兄と一緒に世界選手権に行きたい。順位のことは考えない。自分の演技をすれば結果はついてくる」。そう力強く言い切った田中は、7日の個人総合2回目で、日本体操協会の幹部が「記憶にない」と明言する、兄妹同時の世界選手権代表という快挙に挑む。【吉松忠弘】