<ビーチバレー:エコシステムオープン>◇初日◇4日◇岡山・渋川海水浴場

 ビーチ界のアイドル浅尾美和(23=エスワン)がツアー初優勝に向け、ストレート勝ちで発進した。西堀健実(28=同)とのペアで2回戦を快勝し、3回戦に進出した。5日は、交通事故で亡くなった妹美紀さん(享年17)の一周忌。1年前は最愛の妹の葬儀で欠場した大会で初のツアー優勝を目指し、1セットも落とさない気迫で3日間を戦い抜く決意だ。

 「ビーチの妖精」が、岡山では鬼になる。06年ドーハ・アジア大会銀メダルの小泉と周藤のペアを相手に2セットを連取。セットポイントもマッチポイントも、浅尾のスパイクで決めた。

 試合後は「久しぶりにゲームを楽しめました。平日なのにお客さんがたくさん来てくださったし。昨年は来ることができなかったんですが、きれいなロケーションにびっくりしています」。昨年の悲劇を胸に沈めるように、笑顔を見せた。

 昨年9月5日、最愛の妹美紀さんを失った。三重県鈴鹿市内で自転車に乗っていた美紀さんは同年8月13日、乗用車と接触し、意識不明のまま同市内の病院に入院。当時、テレビの五輪キャスターとして北京にいた浅尾は事故の一報を聞きながらも気丈に仕事を務めた。帰国してからは昨年の今大会を欠場するなど美紀さんに寄り添ったが、帰らぬ人となった。「私が頑張ることが残された家族への励ましにもなるし、何より美紀への一番の供養になる」と、約1週間後のJBVグランドスラムふくい杯から復帰。左腕に喪章、胸に形見のペンダントを胸につけてコートに戻った。

 あれから1年。所属事務所の曽根社長は「本人は並々ならぬ決意でこの大会に臨んでいるし、ぼくらも絶対に優勝させたい。(1セットも落とさない)完全優勝を狙うぞと声をかけました。もちろんその気持ちでしょう」と、浅尾の気持ちを代弁した。5日は母恵美さんの誕生日でもある。妹をしのび、母を思い、浅尾は岡山の白砂にすべてをぶつける。【堀まどか】