<女子テニス:東レ・パンパシフィック・オープン>◇29日◇東京・有明テニスの森公園

 クルム伊達公子(39=エステティックTBC)が、世界の壁にはね返された。先週の韓国オープンで13年ぶりのツアー優勝を果たしたクルム伊達は■詠然(台湾)と組んだダブルス1回戦で、ドゥルコ(アルゼンチン)ペトロワ(ロシア)組と対戦し、5-7、6-3で迎えた10点先取制のタイブレークを7-10で落として敗退した。前日のシングルス1回戦に続く初戦敗退にも、昨年、約12年ぶりに復帰したツアー大会で、再び上昇するための手応えをつかんだ。

 39歳での初勝利はならなかった。クルム伊達が、シングルス同様、惜しくもフルセットで敗れた。4人の中で、1人だけレベルが違う動きで対抗したが、ペアを組んだ20歳の■はシングルス中心の選手でダブルスに不可欠なネットプレーが苦手で、そこを突かれた。

 1セットずつ分け合ったところで、約30分間、降雨で中断した。屋外の1番コートから屋根が閉まったセンターコートに移動し、最終セットの10点先取制のタイブレークから再開。積極的に「ネットに出てプレッシャーをかけ続けた」が、27歳のペトロワ、24歳のドゥルコのパワーに屈した。

 先週の韓国オープンで優勝した。しかし、トップ10が1人も出場しない大会と、4大大会に次ぐ位置付けで、世界1位から30位までのうち29人がそろった今大会ではレベルが違う。

 「疲れはあまり感じていない」とは言うものの、韓国から7日連続の試合。「まだトップに行ける自信はない」と話すクルム伊達にとって、韓国からの勢いを持続し、勝利するのは容易ではなかった。

 しかし、十分に手応えは感じたようだ。昨年の今大会でツアーに復帰して1年。昨年の予選の決勝で完敗したウォズニアク(カナダ)に前日のシングルスでは惜敗。「ツアーに出続けたかいもあって、スピードに順応してきている」と満足げだ。大阪で開催される12日開幕のツアー・HPオープンに出場予定。96年ジャパンオープン以来の地元優勝も夢ではない。【吉松忠弘】※■は危のフシヅクリを取り、見の目を取ったものと言を縦に並べる