<出雲駅伝>◇12日◇出雲大社前~出雲ドーム前の6区間44・5キロ◇出場21チーム

 日大のエース、ギタウ・ダニエル(4年)が、チームを2年連続5度目の優勝に導いた。最終6区(10・2キロ)に登場し、トップと41秒差を逆転。同じケニアからの留学生のオンディバ・コスマス(山梨学院大2年)を8・5キロ地点で抜き去った。昨年マークした自己の区間記録を11秒上回る28分17秒の快走で、来年1月の箱根駅伝では山登りの5区への挑戦を熱望した。

 またも、ダニエルが逆転勝利を呼び込んだ。タスキを受けた時点で、トップと41秒差の5位。3・2キロまでに第一工大、早大、東洋大を抜き去り、7・4キロで山梨学院大のコスマスに追い付いた。約1キロは背後について力をためると、一気に前に出た。昨年の区間記録を11秒も更新したことが、成長を証明していた。

 「コスマスは同じケニア人だから、30秒差なら自信があったけど、41秒差は不安だった」と振り返る。今年は関東インカレで800~1万メートルの4冠に輝くなど、スピードに磨きをかけた成果が、駅伝にも表れた。2年後輩のコスマスにはレース後、スワヒリ語で「ウメジャリブ(お疲れ~)」と声を掛け、先輩の貫禄(かんろく)を示した。

 大学3大駅伝は、11月の全日本、来年1月の箱根が控え、ダニエルの野望はまだ続きがある。箱根では1年生時に3区、過去2年は花の2区を務めてきたが、今度は5区を希望する。箱根で、ケニア人が山を登ったのは、02年のカリウキ(山梨学院大)だけで、区間11位に沈んだ。平地で、スピードを生かした方が得策と見られてきたが、ダニエルは前例を覆そうとしている。

 既に山登りを意識した練習も始めている。「ケニア人はみんな同じじゃない。柏原に勝つ自信?

 100%あります。60分台、(つまり)69分59秒以内を目指します」。今年、1時間17分18秒の区間新をマークした「東洋の魔神」こと東洋大の柏原竜二(2年)の記録さえ、大幅に更新することを視野に入れた。日大の堀込ヘッドコーチは「これからの練習次第ですね」と慎重だが、本人の熱意は半端じゃない。新たな伝説が生まれるかどうか。【佐々木一郎】