陸上男子100、200メートルの世界記録保持者ウサイン・ボルト(23=ジャマイカ)が2日(日本時間3日)、哺乳(ほにゅう)類最速のチーターの“里親”になった。ケニアの野生動物保護活動の一環で、母親に捨てられたチーターを1万3700ドル(約123万円)で引き取り、年間3000ドル(約27万円)の養育費とともに動物保護団体に寄付した。ボルトの“養子”になったチーターは「ライトニング(稲妻)・ボルト」と名付けられた。

 左肩に毛布を掛け、ちょっと腰を引きながらボルトが赤ちゃんチーターを受け取った。「ミャー」と鳴き声を上げるチーターをしっかりと抱きしめながらも、ボルトは引きつった笑いを浮かべた。哺乳(ほにゅう)瓶を手渡されて、ミルクを飲ませるとようやく表情が緩んだ。抱いていたのは“養子縁組”した生後3カ月の雄「ライトニング・ボルト」君だ。

 ドイツのザイツ財団が企画した野生動物保護活動のスポーツ大使に任命され、10月30日からケニアを訪れていた。今回ボルトが“里親”となったのは、ナイロビ自然公園で母親に捨てられ、公園内施設で保護されていた赤ちゃんチーター3匹のうちの1匹だった。

 会見したボルトは「この旅行でサファリを案内されたときに大人になったチーターを見て、少し怖かったんだ」とライトニング君を抱いたときに怖がった理由を説明した。「でも、今ではライトニングと私はとてもフレンドリーになれたよ。もう大丈夫、怖さは克服できた」と会場の笑いを誘った。

 今回、ライトニング君の親権を得たボルトは地元の動物保護団体「ワイルドライフ・サービス」に1万3700ドルを寄付。さらに毎年の養育費として3000ドル(約27万円)も送金することを契約した。瞬間最速で時速112キロ、100メートルも6秒台で疾走するチーターと“肉親”になれた喜びもあって、ボルトは左手を天に突き刺す得意の稲妻ポーズを披露していた。