<スピードスケート:全日本距離別選手権>◇初日◇30日◇長野市エムウエーブ

 バンクーバー五輪代表の高木美帆(16=北海道・帯広南商)が、“遼クン流”で14年ソチ五輪を目指す。女子500メートルで2回合計1分18秒74の高校新記録で4位に入った。2種目目の1500メートルも5位に入り、初のW杯代表入りを確実にした。短中距離での代表入りで過密日程になるが、同じ世界を転戦するゴルフの石川遼(19=パナソニック)のように、若さを武器に可能な限り経験を積む覚悟だ。

 高木はこの日2種目目の1500メートルのフィニッシュで「うおっー」のかけ声とともにゴールに飛び込んだ。順位は2分1秒56で5位。4位に入った1種目目の500メートルとともに、W杯初代表入りがほぼ確定した。「悔しさとかいろいろあって声が出ました。恥ずかしいですね。でも初の代表。世界で多くのものを見てきたい」。まん丸な愛くるしい目にグッと力が入った。

 高校生初の大会。昨季、同競技史上最年少で五輪に出場して注目され、重圧もあったはずだが、1種目目の500メートルの1回目で、39秒34の自己ベストをたたきだすと2回目もそれに迫る39秒40。目標のW杯代表を簡単に引き寄せた。「調子が悪い中でこれならまずまず。今季の目標は代表入りだったけど変えて1戦1戦頑張りたい」。昨季から身長が1センチ伸び、筋力トレでパワーもアップした。

 短中距離での代表は普通の選手よりレース数も増える。その経験を力に変えていく。ゴルフの石川も日本、米国、欧州のツアーを積極的に転戦し、経験を積み世界水準にたどりついた。指導する東出俊一監督(53)は「乾いたスポンジ。遼クンではないが、いっぱい吸収してほしい」と話す。高木も「この2年間はがむしゃらにやる。出られるレースは全部出たい。遼クンみたい?

 そうですね」。氷上のニューヒロインが遼クンに習い、世界に打って出る。【松末守司】