フィギュアスケートの安藤美姫(22=トヨタ自動車)が、シーズン中では異例の「新曲」でGPファイナル(今日9日開幕、中国・北京)初制覇を目指す。8日、愛知・中部国際空港から北京入り。出発前の同空港で、ショートプログラム(SP)の使用曲を急きょ変えたことを明かした。GPシリーズでは女子で唯一連勝したが、大舞台を前にさらに完璧を期して不安のあったSP曲の変更を決意。演技内容と衣装も変えて、大勝負に挑む。

 安藤が「新曲」で勝負をかける。フリーで逆転Vを飾った11月のロシア杯後にSP使用曲の変更を決断。短期間で新プログラムを完成させた。ジャンプの構成は変わらないというが、演技内容は大きく変わるはず。同行するモロゾフ・コーチは「彼女に聞いてみて」とニヤリ。安藤は曲名こそ口にしなかったが、手ごたえをにじませるような口調で説明した。

 安藤

 ロシア杯の後に変えました。期間が中2週間ですごく短かったんですが、自分のできる限りの良いものになった。滑っていても気持ちがいいし、滑りやすいです。

 今季はロシア杯まではヒップホップ調でアップテンポなナッシン・バット・ストリングスの曲を使用していた。だが、慌ただしく演技との調和がうまく取れない不安があった。GPシリーズは女子で唯一の2連勝。強さを示したがSPに限れば中国杯で3位、ロシア杯は5位。同シリーズ上位6人で競うファイナルでは、同様の出遅れは致命傷になりかねない。異例の改革に踏み切った。

 新曲は映画「ミッション」のサントラから2曲使用する。86年の英国作品で同年度カンヌ国際映画祭で最高の賞パルムドールに輝いた名画。GPシリーズ初制覇を目指す安藤にふさわしいものだ。衣装も変える。「ギリギリまでロシアで作っているところ。(北京まで)持ってきてもらいます」。

 ロシア杯の直前に痛めた腰の状態もほぼ回復した。勝負のかかるフリーでは終盤の5連続ジャンプという「切り札」を持っている。

 安藤

 (SPを)ファイナルでどう評価してもらえるか。この前のものより、いい評価をいただきたいし、気に入ってもらえたらいいと思います。

 課題だったSPで好スタートが切れれば、07年世界選手権を制した安藤が、GPファイナルというもう1つの栄冠を手にすることになる。【八反誠】