浅田真央(20=中京大)がプライドを捨ててまで、今日24日開幕のフィギュア全日本選手権(長野)での逆襲にかける。23日の公式練習後、25日のショートプログラム(SP)で得意のトリプルアクセル(3回転半)を封印する考えを示唆した。今季は大不振だったが、この日の練習では5本中4本を成功させて復調気配。それでも劣勢状況の世界選手権(3月、東京)の代表切符を安全策に走ってでも取りに行く。男子は今日24日にSPを行う。

 大不振に陥っていた浅田の決意の表れだった。「信夫先生(佐藤コーチ)とはSPは3回転半を2回転半にするという話になっている。でも、できればやりたい。明日の状態を見て決めたい」。状態次第では挑戦するが、現段階ではSPで3回転半を封印するプランであることを明かした。

 浅田にとっては代名詞のジャンプだ。世界でも使い手はほとんどいなく、バンクーバー五輪でのSPとフリー通じて3度の成功はギネス記録として認定されたほどだった。五輪シーズンの昨季からSPでも常時、3回転半を使用。昨年の全日本選手権前も不振で、フリーで2本中1本を回避したが、SPでは果敢に跳んだ。それを捨てる覚悟だ。

 今季は「10本跳べば10本とも違う跳び方」を、1つにするようジャンプ改造に取り組み、不振に陥った。NHK杯8位、フランス杯5位とかつてないほど苦しんだ。だがこの日の練習では復調気配を見せた。ジャンプは全体で24本中21本成功。3回転半も5本中4本を決めた。「やれることは全部やった。ここに来る前も悪くなかったが、こっちに来て1歩よくなった」と自信も口にした。

 3回転半の基礎点8・5点に対し、2回転半は3・3点と大差がある。オフにはルール変更で高難度ジャンプの基礎点も上がり、回転不足でも中間点が入るなど浅田に追い風となっていた。だがプラン変更すれば、そのメリットはなくなる。それよりも1つのジャンプミスで総崩れするより、着実に演技を決める狙いがある。

 村上、安藤、鈴木にリードを許し、劣勢に立たされている世界選手権の代表入りへ、5連覇のかかる今大会での表彰台は絶対条件だ。「一発勝負でやるだけ」。理想を捨てる覚悟で、逆転選出へ挑む。【広重竜太郎】