男子ホッケーで、日本代表の前監督であるジークフリート・アイクマン氏(51=オランダ)が、不当解雇を理由に、日本ホッケー協会を相手取り、法的手段に出ることが3日、分かった。同氏は「協会は契約を破った。仕事もなくなり、家族も大きな被害を受けた」と、既に弁護士を雇い、東京地方裁判所に訴える準備に入った。

 同氏は、09年4月に日本代表初の外国人監督として、12年4月のロンドン五輪最終予選終了までの任期で就任。しかし、今年2月に、昨年11月のアジア大会6位という成績不振を理由に解任された。しかし、事前に「アジア大会の成績は重要視しないと、木原専務理事や高嶋強化本部長から伝えられていた」という。

 この突然の解任に、協会の理事らも異議を唱え、問いただした。理事らは2月の報道発表で解任を初めて知り、3月の理事会で報告事項として了承を迫られた。確かに代表監督決定は、同協会の理事会決議事項ではない。しかし、理事の1人は「大事な決定を、なぜ理事に相談もなく決めるのか」と憤慨する。

 また、1月の理事会では同氏の続投が報告されており、その理事によると「アジア大会の成績が解任の理由には当たらない」という。その後、吉田会長以下、木原専務理事、高嶋強化本部長の3人が、理事に相談なく解任を決め、そのまま発表した。3月の理事会では「強化方針が食い違った」とだけ解任の理由が説明されたという。

 代表選手たちにも寝耳に水だった。選手らの代表2人が、同本部長と会長に同氏の続投を直訴したが「決定したものは覆せない」として却下された。その後、「解任ならば代表を辞退する」とした続投嘆願書を8人の選手が用意。しかし、所属チームからの説得で半数以上が断念し、提出はならなかった。

 関係者によると、アジア大会の代表選手選考で一騒動あったという。負傷でプレーできない選手を協会が代表に選ぼうとして、アイクマン氏が拒否したというのだ。同氏も「信じられないことだった」と認める。「給料も今はもらえていない。息子が通う日本の学校も卒業させてやりたい」。既に次期監督として姜建旭氏が発表されたが、ロンドン五輪を前に、日本ホッケー界に内紛が勃発した。