日本競泳陣が来年のロンドン五輪でのメダルラッシュへ秘密基地を確保した。ロンドンから約40キロ東のバジルドンにある「バジルドン・スポーティング・ビレッジ(BSV)」。4月に完成したばかりの最新施設で、50メートルプールのほかフィットネスジム、陸上競技場も併設している。日本水泳連盟は五輪直前の来年7月1~30日まで独占契約を結んだ。五輪開幕1年前を迎え、日刊スポーツの取材にBSVが初めて全容を公開した。

 五輪でメダル量産を狙う日本競泳陣が、ロンドン近郊に最高の前線基地を確保した。ストラトフォードにある競泳会場や選手村まで車で約30分。五輪前には各国代表への割り振りで会場の練習が限られる中、日本はBSVと12年7月1日から30日まで独占使用の契約を結んだ。視察した上野広治競泳委員長も「利便性もいいし、環境も整っている」と絶賛する。

 英国内に少ない長水路の50メートルプールは4月に完成したばかり。可動式ボードでプールを2つに分割できる。最深1・8メートルのプールの底も可動式で調節できる。プールサイドは400席の観客席付き。そこからプール専用の会議室に直結しており、泳ぎの映像をモニターで確認することもできる。BSVのパーマー・マネジャーは「練習をバジルドンの子どもたちも観戦できる。最高の交流となる」と楽しみにしている。

 最新施設はプールだけではない。心拍系のエクササイズを行うさまざまなマシン100台が設置されたフィットネスルームで、本格的な筋力トレーニングにも取り組める。また、東京ドーム約20個分の広大な屋外施設には8レーンの400メートル陸上競技場もあり、陸上トレーニングで調整もできる。さらに人工芝のフットサル場があり、息抜きもできる。医療処置室やマッサージ室もあり、ケガなどの緊急事態にも対応できる。

 五輪直前は世界中から代表選手が集結するため、プールやジムなどは交代制で使用するケースが多く、時間的にも制約を受ける。それだけに、BSVとの独占契約は日本勢のメダル獲得へ大きな追い風になる。上野委員長によると日本競泳陣は、希望者が来年6月の欧州GPに参加。その後、代表全員で大西洋にあるスペイン領カナリア諸島のテネリフェ島で合宿を行い、五輪前に選手村に入ってからBSVの施設を使うことになるという。【吉松忠弘】

 ◆バジルドン・スポーティング・ビレッジ

 4月に完成した最新スポーツ総合施設。10億ポンド(約1300億円)以上を投資した都市再開発計画の一環で建設された。ロンドン市内のフェンチャーチ駅から鉄道で約40分。選手村や水泳会場のあるストラトフォードからは車で約30分という至近距離だ。▽室内施設

 50メートル×21メートルのプール。多目的スポーツホール。体操競技場。2つの多目的スタジオ。2つの会議室。600平方メートルのフィットネスルーム。▽屋外施設

 400メートルトラックの陸上競技場。6面の人工芝フットサル場。ホッケーやサッカーの練習場となる人工芝ピッチ。12面のネットボールコート。▽その他

 カフェ、レストラン、医療処置室、マッサージ室など。