<柔道:全日本選抜体重別選手権>◇最終日◇13日◇福岡国際センター

 情けない、ふがいない、ニッポン柔道の顔、男子重量級が崩壊した。100キロ超級は上川大樹(22=京葉ガス)が代表に選ばれたものの、試合では決勝で大会初出場の七戸龍(23)に一本負けする失態。90キロ級の加藤博剛(26)に優勝を奪われた4月の全日本選手権に続き、100キロ超級の五輪代表候補が総倒れとなった。「消去法」で選ばれた上川は金メダルどりを宣言したが、現状ではメダルにさえ手が届きそうにない。

 上川が天井を向いて倒れた瞬間、スタンドからは失笑までもれた。大会の最後を飾る男子100キロ超級決勝戦、五輪代表の座をかけて争われた男女14階級84試合の最後の試合だ。七戸に一本的に攻められ、1分55秒に大内刈りで技ありをとられた。「焦りはなかった」というが「自分の組み手にならず」に2分23秒に大外刈りで一本負け。直後には「負けちゃったと思いました」と力なく話した。

 五輪出場権に国際柔道連盟(IJF)ポイント制が採用され、今回重量級は3人しか候補がいなかった。右肩脱臼から強行出場した鈴木は初戦で19歳の王子谷に判定負け。一昨年全日本王者の高橋も1回戦で七戸に敗れた。上川は最後のトリデだった。準決勝こそ、場外だと判断して力を緩めた石井を投げて一本勝ちしたが、決勝ではほとんど技が出せず。「2人からは優勝しろと言われたけど、託された思いに応えられなかった」と下を向いた。

 重量級の悲惨な現状は、目を覆うばかりだ。昨年の世界選手権100キロ超級は鈴木はメダルに絡めず、上川は1回戦敗退だった。無差別級世界選手権には4人が出場したが、鈴木の銅メダルが最高。上川は2回戦で姿を消した。全日本選手権に続く選抜体重別での惨敗。上川敗退の瞬間、吉村強化委員長は怒りに震え、篠原監督は畳を見つめてぼうぜんとした。代表発表の席でも「特に重量級がふがいない」と言い放った。

 10年世界選手権では王者リネール(フランス)を破って金メダルを獲得した上川。誰もが、その素質を認めながら「メンタルが弱すぎる」と指摘する。本人も「弱いと思います」と言いながら「どうすればいいか分かれば、やってます」と人ごとのように言った。

 優勝した七戸に「たまたまだけど、圧勝でしたね」とまで言われた上川。重量級はニッポン柔道の顔と言われてきたが「確かに昔は強い人が多かったけど、軽量級と同じ1階級。特別だとは思いません」と平然と話した。「徹底的に鍛えて勝たせる」と話した篠原監督の悲壮な決意が届かない限り、重量級の金メダルはありえない。【荻島弘一】