<柔道:全日本実業個人選手権>◇25日◇兵庫・尼崎ベイコム総合体育館◇女子48キロ級

 女子48キロ級は浅見八瑠奈(24=コマツ)が初優勝した。準々決勝で強敵山岸(三井住友海上)を下し、決勝では笠原(日体大柔友会)に小外掛けとけさ固めの合わせ技で一本勝ち。「久しぶりに楽しく柔道ができました」と声を弾ませた。

 ロンドン五輪の「本命」と目されながら、5月の全日本選抜体重別で静岡・藤枝順心高の岡本に初戦敗退。落選した。しかし「逃げたくなかった」と代表強化合宿には志願参加。愛媛・新田高柔道部監督の父三喜夫さんは、負けた試合のVTRを用意して敗戦直後から反省会だった。数多くの激励の手紙から「人の価値はうまくいかない時に決まる」の言葉をかみしめた。

 五輪は「今あるのは福見選手のおかげ。優勝して喜ぶ姿を見たかった」と、メダルを逃したライバル福見(了徳寺学園職)の涙をテレビ越しに見るしかなかった。3カ月悩み、そして、その福見の目の前で見せた復帰戦V。「自分はできると再確認できた」と、まずは来年の世界選手権で3連覇を目指す。「しんどいっていうのが、勝ちたい気持ちを上回ったらやめる時。もう1度世界の舞台に立ちたい」。世界女王がたくましくなって戻ってきた。【近間康隆】