日本初の世界8強が見えた!

 今日31日開幕する男子テニスの国別対抗戦デビスカップ(デ杯)世界グループ1回戦日本-カナダ(東京・有明コロシアム)の組み合わせ抽選が30日、都内で行われた。世界12位の日本はシングルスに錦織圭(24=日清食品)と添田豪(29)を起用。対する昨年4強で世界7位のカナダは、シングルス世界11位のラオニッチが足の故障でメンバーから外れ、同25位のポシュピシルは腰の故障でダブルスのみのエントリーとなった。日本は計5試合で3勝すれば初の準々決勝進出となる。

 日本チーム、関係者の誰もが驚いた。前日29日の歓迎パーティーで談笑していたラオニッチの姿がなかった。抽選式に出席した錦織は「少し驚いた」と目を見開いた。加えて、初日に対戦が予想されたポシュピシルもシングルスから外れた。「歴史的な勝利を目指していきたい」と、日本初の8強に意気込んだ。

 日本が初めて世界グループ初戦を突破するチャンスが到来した。シングルス世界18位の錦織は同11位ラオニッチに過去の対戦で勝ち、同25位ポシュピシルよりランク上位。だが、「あの2人に勝つのは大変」と言うように強敵だ。たとえ錦織が2勝しても日本が勝利するには3勝が必要。添田のシングルス2試合とダブルス1試合の計3試合で残り1勝をもぎ取らなくてはならないが、カナダの2人が出場すれば難しかった。

 しかし、相手のNO・1とNO・2が世界100位以下の選手になることで、添田にも勝ち目が出てきた。ダブルスは相手に4大大会8度の優勝を誇るネスターがいるため、勝つのは厳しい。シングルス4試合のうち、錦織の2勝と添田の1勝という方程式が現実味を帯びてきた。

 驚く日本チームの中で1人、冷静だったのが植田監督だ。「全豪のプレー、日本での練習を見て起こりうると思った」。全豪3回戦で敗退したラオニッチ、同3回戦をケガで棄権したポシュピシルの欠場を予想していた。

 ただ、決して気は抜けない。国を背負うデ杯の試合結果は世界ランクだけでは分からないと言われる。錦織も「相手が誰でも自分のプレーをするのには変わらない」。まずは、今日の開幕戦でエースがポランスキーをたたき、流れを日本に引き寄せたい。【吉松忠弘】

 ◆デビスカップ

 1900年に始まった1年の世界最強国を決める男子国別対抗戦。13年は130カ国が参加した。81年から始まった世界グループは最上位16カ国で構成される。その下には3地域に分かれた1~4部制のゾーンがある。世界グループ1回戦の敗戦国と3地域の1部の勝国の計16チームが毎年、入れ替え戦を行う。初参加の21年に準優勝した日本は戦後は、なかなか地域ゾーンから脱出できなかった。85年の世界グループ入りを最後に、12年に復帰するまで、27年間、地域ゾーンにとどまった。