君も7人制ラグビーで五輪に出よう!

 元日本代表の吉田義人氏(45)が創設した7人制ラグビーの「サムライ東京セブンズラグビークラブ」が16日、都内で最終選抜メンバー21人を発表し、練習を公開した。合格者には陸上の男子110メートル障害でインカレ優勝などの経験を持つ飯田将之(26)、元プロ野球オリックスの梶本勇介(30)ら異競技からの転向組が7人。まったくのラグビー初心者から、正式種目となる16年リオデジャネイロ五輪への出場を目指す。

 21人のサムライが夢の五輪出場に向け、出そろった。約3時間の午前の練習が終了後、吉田代表から1人1人にメンバー入りの証しとなる黒のポロシャツが配られた。「現代のサムライを選んだ。そして、彼らを五輪選手に育てる使命がある」。

 21人の合格者を、1軍に当たる12人のAチームと2軍になるBチーム9人に分けた。Aに入ったラグビー未経験者は3人いる。吉田代表は「走るスピード、クイックネス、体幹の強さの3つの柱で選んだ」。初心者でも、その3つを兼ね備えていれば、夢をつかめると判断した。

 その中でも真っすぐ走らせたらチームNO・1が、陸上から転向した飯田だ。インカレ、高校総体優勝という輝かしい経歴の持ち主で、ハンマー投げでアテネ五輪金メダルの室伏広治らが所属するミズノで競技力を磨いてきた、まさにオリンピアンの継承者だ。

 「新しい世界を見たかった」と3月いっぱいでミズノを退職し、7人制ラグビー1本にかける。仕事も、サムライセブンのあっせんでまったく異なった業種での再出発が決まった。「パスがまったくできない」という一からのスタートになるが「目指すのはリオ五輪。近い目標の方が実感がある」と意気込む。

 昨年までオリックスに在籍し、2年間で1軍の試合に約80試合出場した梶本は、吉田代表が「最高の体の切れ。トップアスリートの1人」とほれ込んでスカウトした。本人は「どこまでできるか。もう少し考えたい」と思案中だ。それでも「今はしっかりとラグビーと向き合いたい」。

 7人制ラグビーは、16年リオデジャネイロ五輪から新たに採用された競技。しかし、日本でラグビーといえば15人制が主流だ。吉田代表も「とにかくまったく認知されていない」と嘆く。スポンサー集めも厳しいが、まずは大きな花火を打ち上げ、7人制への関心を深めることが先決。4月27日に岩手・釜石で行われる親善大会で、最初の試合に挑む。【吉松忠弘】

 ◆吉田義人(よしだ・よしひと)1969年(昭44)2月16日、秋田県生まれ。秋田工-明大と進み、主将の4年時に大学選手権優勝。卒業後は伊勢丹、フランスのプロチームのコロミエ、三洋電機などでプレーした。04年に現役引退して横河電機でヘッドコーチを務めた。19歳で日本代表に選出されて91、95年W杯に出場しキャップ数は30。世界選抜には3度選ばれた。09年に明大監督に就任し、13年1月に退任。

 ◆7人制ラグビー

 資金不足で15人のメンバーが集まらなかったことから、スコットランドで始まった。グラウンドは15人制と同じ大きさ。規則もほぼ同じだが、試合時間は15人制が40分ハーフなのに対して、7人制は10分ハーフ。FWは3人、BKは4人で組むのが基本だ。11月から翌年の4月まで、約9カ国を転戦するワールドシリーズがある。

 ◆サムライ東京セブンズラグビークラブ

 吉田義人氏が代表のサムライセブン(港区)が運営する7人制ラグビーチーム。サムライセブンは、昨年10月1日に、有限責任事業組合として発足した。11月にプロ野球の合同トライアウトなど、異競技に足を延ばしスカウト。12月下旬には、サムライセブン主催のトライアウトを行い、約40人が集まった。男子の7人制クラブは、国内にほとんど存在しない。

 ◆リオ五輪への道

 日本ラグビー協会へクラブを登録することから、五輪への道は始まる。登録選手でないと日本代表にはなれない。あとは試合ごとに結果を残し、協会の目に留まるかどうか。五輪本番は男女各12チームが出場。14~15年シーズンのワールドシリーズ上位4チームが出場権を獲得し、その後の各地域大会で6代表が決定。残り1枠は最終予選で選ばれる。