テニスのバルセロナ・オープン優勝の錦織圭(24=日清食品)が、一夜明けた28日発表の最新世界ランキングで、自己最高に肉薄する12位まで上昇した。クレーコートは初タイトルで、ツアー通算5勝目。次戦の5月4日開幕のマドリードオープン、同11日に始まるイタリア国際の両マスターズ大会の結果では、全仏前に日本男子史上初のトップ10入りの可能性も出てきた。

 再び、錦織が夢のトップ10に肉薄した。バルセロナオープン優勝で、500点を上乗せ。一気に17位から12位へジャンプアップした。「次の目標はもちろんトップ10。年内には、その夢をかなえたい」。年内どころか、5月25日に開幕する全仏オープンの前にも、トップ10入りは可能となった。

 全仏8度の優勝を誇るナダルらを生んだテニス王国スペインの赤土を、アジア選手として初めて制した。左股関節の故障から約1カ月ぶりに復帰し、初戦の2回戦こそ1セットを奪われたが、3回戦から決勝までの4試合はすべてストレート勝ち。「歴史と伝統がある欧州のクレー大会で優勝できるなんて、素晴らしい気分」と、銀のトロフィーを掲げた。

 5月4日からはマドリードとローマで、2週続けて4大大会に次ぐ規模のマスターズ大会に出場する。優勝は快挙だが、その分、試合数が増加する。左股関節の状態が100%ではないだけに、今週は出場大会がないのは幸いだった。

 マドリードは昨年、フェデラーを破って8強に進出した相性のいい大会。しかし、昨年と同等の成績を残さないと現在の2440点は確保できない。もちろん4強以上なら合計点に上積みされる。ポイント稼ぎなら、その次のローマが狙い目だ。ローマは昨年2回戦で敗退しているため、今年は3回戦以上なら合計点は増える。

 もし、その2大会で優勝すれば、合計の最大は4215点で約7位相当になる。「伝統ある欧州の地で、自分が強くなっていると感じている」。バルセロナでの優勝は、全仏前のトップ10入りがあながち夢ではないと実感させる快挙だ。

 ◆男子世界ランキング

 コンピューター管理の現在のシステムは73年にスタート。賞金総額の大小や成績によって、獲得点数が異なる。4大大会優勝で2000点。最も小さいフューチャーズ大会で優勝18点。大会で獲得した点はその翌週から52週間有効。各大会で獲得した点の上位18大会の合計で、毎週、順位が決まる。現在、世界ランキング保持者は約2100人。