<テニス:全米オープン>◇第13日◇6日◇米ニューヨーク・ナショナルテニスセンター◇男子シングルス準決勝

 いけるぞ、圭!

 日本人として初の4大大会決勝は、8日午後5時(日本時間9日午前6時)から行われる。錦織圭(24=日清食品)に対峙(たいじ)するのは世界ランク16位のマリン・チリッチ(25=クロアチア)。198センチのビッグサーバーだが、過去の対戦成績は5勝2敗で十分に勝機あり。初の決勝進出者同士の決戦を制し、一気に頂点に駆け上がる。

 新たな時代はここから作る。全米オープン覇者、その資格を持つのは日本の24歳の若者と、クロアチアの25歳の若者に絞られた。錦織が準決勝を突破した数時間後、チリッチが同じ舞台に立つことが決まった。

 ともに決勝進出は初めて。世界ランク1位ジョコビッチ(セルビア)、同3位フェデラー(スイス)、ケガで欠場の昨年王者ナダル(スペイン)、準々決勝で消えたA・マリー(英国)、「ビッグ4」と呼ばれた強豪がいない4大大会決勝は、05年の全豪オープン以来9年ぶり。テニス界の新たな潮流が、2人の激突から生まれようとしている。

 過去の対戦成績は、錦織が5勝2敗とリードしている。全米オープンでは10年に勝ち、12年は屈して1勝1敗だが、13年全米室内準々決勝からは3連勝中。今大会でも抜群の技術をみせるレシーブを武器に、198センチの長身から繰り出すチリッチの高速サーブに対応できている。準決勝後に印象を聞かれると、「展開が速いプレーに変えてきている。しっかりしたディフェンスは必要。気持ちはしっかり準備しておきたい」と答えた。

 チリッチは昨年ドーピング検査で禁止薬物の陽性反応が出て4カ月間の活動停止を受けた。今年から母国の名選手だった01年ウィンブルドン王者のイワニセビッチ・コーチの指導を受け、復帰後はツアー大会で2度優勝。勢いはあるが、戦後初のツアープロの神和住純さん(66)も「粘り強くリターンしていけば勝機は広がる」と錦織に分があると分析する。

 ともに準決勝では偉大な先人を破り、波に乗る者同士だが、錦織は言う。「決勝の舞台でも気持ちを揺るがずに、しっかり心(しん)を持ってやりたい。優勝して、もう1つの歴史をつくりたい」。さらに先にある次の歴史の扉を開く舞台は整った。