<テニス:全豪オープン>◇20日◇メルボルン◇男子シングルス1回戦

 世界5位の錦織圭(25=日清食品)が、最初の関門を突破した。元9位で、同69位のニコラス・アルマグロ(29=スペイン)を6-4、7-6、6-2の2時間7分で退けた。最初の2セットでともにリードを許したが、終わってみればストレート勝ちの好発進だ。22日予定の2回戦では同86位のイワン・ドディグ(30)と対戦する。

 これが世界5位の貫禄だ。初戦という重圧、元世界9位の危険な相手、14年全米準優勝後初の4大大会、そして多くの期待。どんな重しも錦織には通じない。「1回戦にしてはタフさランキングではトップ。だから十分いい出だしだと思う」。笑顔さえのぞかせた。

 アルマグロは69位の実力ではない。昨年6月に左膝の手術を受け、先週復帰したばかり。13年全豪で8強と「タフな相手。どこからでも強い球が打てる」。それでも「1段、レベルを上げることができた」と、余裕があったのは錦織だった。

 最初からエンジン全開で、アルマグロは向かってきた。錦織は第1セットの最初、第2セットは第5ゲームでサービスゲームを落とし、嫌な展開になった。ただ「タフな試合になるのは予想していた」と、あくまでも冷静に逆転。第3セットは一方的に、理想のストレートで好発進だ。

 この日は会場の隣で、サッカーアジア杯の日本-ヨルダン戦が行われた。日本代表戦は夜だったため、午前開始の錦織戦に、多くのサポーターが訪れた。「日本人のサポートが心強い。この日も支えになった」。

 試合を終えると、白と青のチェックの半袖シャツに着替えた錦織は、日本代表の応援に出掛けた。キックオフ直後に関係者らと来場し、VIP席へ誘導された。試合中は軽食を頬張りながら、手をたたいて観戦を楽しんだ。メルボルン入り後、FW本田と会食し「たくましい選手。すごい」と刺激を受けていた。

 まずは困難な初戦を突破し、朝から晩まで充実したメルボルンの1日。4大大会初制覇に向け、錦織の全豪が幕を開けた。【吉松忠弘】

 ◆WOWOW放送予定

 21日午前8時55分~、午後4時50分~、WOWOWライブ。第3日男女シングルス2回戦。生中継。放送時間変更の場合あり。