卓球世界選手権(4月26日開幕、中国・蘇州)の選手選考について異議を唱えていたミキハウスの木村皓一社長(69)が10日、全農や日立化成など他チームの見解もまとめた意見書を作成し、日本卓球協会に提出することを明かした。卓球界の現場の総意として、曖昧さをなくした公平性のある選考基準への改善を求める構えだ。来週中にも実行する。

 柔道、競泳、卓球など14種目30人の所属選手を抱える木村社長がほかの卓球関係団体を巻き込んで、改善要求をする。きっかけは、先月19日に行われた世界選手権の代表発表。「一部の人が代表を決めるのではなく、大きな大会に出場したい選手が、自分の手でもぎ取れる基準にすればいい」。水泳は順位や記録で代表が決定するよう改善された。他の五輪種目も、選考会の結果=代表の形も多い。「高校や大学受験のような一発勝負での決定も、選手が納得する1つ」とした。

 同選手権の選考基準の明記はシングルスのみで、男女ダブルス、混合ダブルスに基準がない。そのシングルスにも、最終項目に「国際競争力」という曖昧な文言を根拠に、強化本部が選ぶ余地を残している。「それなら国際大会の成績で選ぶとか、全日本選手権の成績は加味しないとか記せばいい」と同社長。実業団チームの監督が代表監督を兼務する強化部の体制にも疑問を投げかけた。

 全日本選手権の女子ダブルスで平野早矢香と組んで連覇した石川佳純が所属する全農や、同シングルス決勝で石川に敗れた森薗美咲の所属する日立化成など日本リーグの他チームも、選考基準の透明さに疑問を持っているという。「うちだけじゃなく、同じ気持ちでいるチームはたくさんある。中高校生も含めて、意見や署名を集めて意見書を作ろうと思う」。実業団や、大阪府内を中心とした中学、高校などに声を掛け、集約して改善要求する意向だ。

 リオ五輪の代表選考は15年9月の世界ランク上位2人が選出される。3人目は「国際競争力」をもとに強化本部が選ぶ。「ランキングに関わるポイントはジュニアの記録も入っているから、それも不公平」とミキハウス大島監督。「このままでは卓球界にいい人材が出なくなってしまう。そうならないように、今怒っている」と木村社長は指摘した。<日本卓球協会の世界選手権代表選考基準>

 ▼エントリー数

 男女シングルス各3~5人、男女ダブルス各2組、混合ダブルス2組。

 ▼男女シングルス3~5人の選出方法

 <1>15年1月発表の世界ランク20位以内の最上位選手1人

 <2>同100位以内の最上位選手1人

 <3>国内選考会優勝者1人

 <4>全日本選手権男女シングルス優勝者

 <5>14年の国際大会(世界選手権など)で世界ランク30位以内の選手4人以上に勝利した選手(女子は同20位以内の選手3人以上に勝利した選手)の中から強化本部で評価した選手

 <6>強化本部推薦若干名

 <1>~<4>で該当者が3~5人に満たない場合及び選手が重複した場合は、(1)国際競争力の実績と評価(2)国際競争力向上への高い潜在性があると思われる選手、の2点を勘案し、強化本部が決定する。

 ▼出場種目

 代表選手の出場種目ならびにペアリングは、強化本部で決定する。ダブルス及び混合ダブルスには、シングルスの代表選手のほか、3人を上限として加えることがある。