<男子テニス:メンフィス・オープン>◇11日◇米テネシー州メンフィス◇男子シングルス2回戦

 世界5位で、自身初のツアー同一大会3連覇に挑む錦織圭(25=日清食品)が、ラケットに張ったストリングス(網目状の糸)の強度に戸惑いながら初戦を乗り切った。同165位のハリソン(米国)に第1セットを落としたが、第2セット以降は立ち直り、3-6、6-3、6-4で逆転勝ち。8強に進出した。13日(日本時間14日)の準々決勝では同156位のクライチェク(米国)と対戦する。

 出せた実力は半分以下だった。8強だった全豪オープンから2週間ぶりの試合で錦織はラケットのストリングスの強度と第1サーブの不調に苦しんだ。「最後までテンション(強度)が合わなかったが、その中でもよく勝った」。ショットが思い通りにならない中、技術を駆使してねじ伏せた。

 室内コートでボールが飛びやすい感覚があったため、緩めにしたストリングスの強度が合わなかった。ショットのミスが続き、「第1セットは捨てた」というほどお手上げ状態。試合中に、何度もストリングスを張り替えに出した。固く張り替え、ようやく距離感が合った第2セット以降は主導権を奪い逆転勝ち。「もう少し精度を上げていかないとダメ」と苦笑いした。

 ストリングスの強度は、球の飛びや回転に微妙な影響を与える。各大会では、ストリングスを張る専門家が用意されるが、担当する人や張る機械によって、同じ強度に設定しても微妙な差が生まれる。ジョコビッチやフェデラーは専属のストリンガーを雇い、常に行動を共にするほどだ。

 コントロールや球種で勝負するスタイルの錦織は、少しの強度の違いでも、大きくショットが狂う。ストリングスの表面に描かれている契約メーカーのロゴマークが、少し濃く塗られているだけで、感覚が鈍るというほど繊細だ。それだけにラケットのトラブルは致命傷となりかねなかったが、冷静に対処。「自信もついて落ち着いている」と世界5位の実力は際立った。

 ◆WOWOW放送予定

 15日午前4時10分~準々決勝ハイライト、同日午前4時55分~準決勝生中継、16日午前7時~決勝録画。すべてWOWOWライブ。放送時間変更の場合あり。