<女子バレーボール:ワールドグランプリ>◇決勝リーグ最終日◇24日◇東京・有明コロシアム

 日本が、77年W杯以来37年ぶりの世界主要大会での金メダルを逃した。決勝で世界ランク1位のブラジルに15-25、18-25、25-27でストレート負け。高さとパワーの前に屈したが、今大会初のメダルを獲得した。国際大会でも81年W杯以来33年ぶりとなる銀メダルで、新戦術「ハイブリッド6」が世界一に届く可能性を証明してみせた。

 25-26で迎えた第3セット、ボールが日本のコートに落ちると、会場は「ああ~」というため息に包まれた。日本の選手たちは、喜ぶブラジル代表を力なく見つめるしかなかった。第3セットは木村主将が難しいトスを得点にするなど意地の粘りを見せたが、身体能力で勝る相手の勢いを止められずストレート負け。木村は「先にミスが出てしまった。相手はよく研究していた」と悔やんだ。

 ブラジルとは95年からの20年間で5勝62敗。パワー、高さ、スピード、どれも圧倒された。今大会の得点源だった長岡のスパイクも次々止められた。ブロック数は日本の3本に対し、ブラジルは10本。多彩な攻撃を仕掛ける新戦術ハイブリッド6も、今回は通用しなかった。安定したレシーブとトスが生命線だが、サーブと強烈スパイクで崩された。

 「点の取り方を工夫したい」と木村。守備の後からでも攻めること、9メートルあるコートの幅を有効に使って攻撃の種類を増やすことを課題に挙げた。真鍋監督は「相手のブロックを見て、打ち分けられるようにしたい。今のトスだと楽についてこられる。もっとトスのスピードを上げたい」と次の強化ポイントを語った。

 ブラジルには敗れたが、ロシア、中国など強豪を破っての銀メダル。方向性は間違っていないことを証明した。「もっとレベルアップしないといけない」と長岡。リオ五輪での金メダルという大きな目標に向かって、挑戦は続く。【岡崎悠利】

 ◆ハイブリッド6

 ブロックやクイックが本職のミドルブロッカー(MB)を置かず、ポジションにとらわれずに流動的に攻める戦術。6人のうちMB2人が主流だが、昨秋からMB1人の「MB1(エムビーワン)」を実践。守備面の不安が解消されたため、6月から各自が複数の役目をこなす新戦術に着手した。ハイブリッドは英語で「混ぜる、組み合わせる」などの意味。

 ◆ワールドGP

 国際バレーボール連盟(FIVB)主催の女子の国際大会で、1993年から毎年行われている。当初はアジア地域の強化などのため、男子のワールドリーグにならって創設された。日本は第1回大会から参加し、過去最高4位。出場チームは毎夏、世界各地で総当たりではない変則的な1次リーグを戦い、決勝大会は開催国を含む6チームで争われる。参加数はことしから28に増えた。主に夏に開催され、その後に開幕する五輪や世界選手権、W杯の前哨戦となっている。