<ラグビー・関東大学リーグ:早大16-14明大>◇6日◇対抗戦◇東京・国立競技場

 早大が明大に逆転勝ちして6勝1分けとし、2年ぶり21度目の対抗戦制覇を果たした。前半は明大の気迫の前に3-14とリードを許したが後半、持ち前の展開攻撃で2トライを奪って逆転勝ちした。先発のフッカー有田隆平(3年)ロック中田英里(3年)が負傷交代するアクシデントを乗り越えての王座奪回。精神的タフさを身につけるという今季の1つのチームテーマを象徴する戦いだった。史上2校目の3連覇が懸かる大学選手権(20日開幕)に弾みをつけた。

 早大は前半24分にフッカー有田が胸を強打。後半9分にはロック吉田が右足首を負傷してグラウンドを去った。ラインアウトのスロアーを務める有田を欠き、3連続してマイボールラインアウトを失うなど窮地に立たされた。中竹監督は「選手たちがこの逆境をどう乗り越え、どう修正するか。不安半分、楽しみ半分だった」と振り返った。

 ハーフタイム。選手たちは自主的に話し合い、サインを変えた。WTB早田主将は「有田がいなくなったので、よりシンプルなものにした」。急造スロアーのフランカー山下は「メチャ焦った」と言いながらも「チーム練習ではやっていないが、こういうこともあるかなと思い、個人練習は行っていた」と打ち明けた。不測の事態が起きた時の修正能力。ここに今季の早大の特徴がある。

 中竹監督は夏合宿で意識的にこういう状況をつくった。東海大との練習試合当日朝に出場メンバーをがらりと代えたのも一例。夏合宿のテーマは「タフになろう」だった。「そんなことでジタバタしない底力をつける」。シーズンに入っても6-3と苦戦した帝京大戦後は試合の進め方など、すべて選手主導に切り替えた。

 ラインアウトが安定した後半、右へ左への展開で明大防御網を揺さぶり19分にWTB中浜、30分にはSH桜井がインゴールに飛び込んだ。早田主将は「選手間の自主ミーティングは昨年より格段に増えている。自分たちで試合をつくるという意識が出てきた」と自信を示した。

 昨季の大学日本一メンバーからFWの主力4人が卒業で抜けた。危機感を持ってのスタートは部内競争の激しさを招き、新顔が登場した。この日、日本代表SO山中に代わって1年生吉井が途中出場、早大出で元日本代表SOの父を持つ星野が、4年生になって初めて公式戦出場した。中竹監督は「途中から修正したのは素晴らしい。しかし、課題も見えた。本当の勝負はこれからです」と、大学選手権に向け手綱を締めた。【三角和男】