大相撲夏場所で初優勝した25歳の大関日馬富士が7月の名古屋場所での綱とりを目指し、堺市の伊勢ケ浜部屋の合宿で精力的にけいこを続けている。「もっと厳しい相撲が取れるように、自分の相撲を磨く時」との通り、場所前さながらの激しさで追い込んでいる。

 夏場所での功績が認められて、故郷のモンゴルでスポーツ功労賞を受賞した。式典への出席のために今月11日からモンゴルへ一時帰国。2006年に交通事故で亡くなった父ダワーニャムさんの墓を訪れて、優勝を報告した。「今度は相撲に恩返しがしたい。場所を盛り上げるのが僕の仕事」と、決意を新たに日本へ戻った。

 合宿に合流したばかりの14日には、平幕の玉鷲らと早くも熱のこもった45番。「忙しかったので、体が重かった」と言うものの、徐々に動きに鋭さが増していき、存在感を示した。

 大関に昇進した初場所は8勝、春場所は10勝にとどまった。綱とりには時期尚早という声もある。だが、126キロと軽量の体をいっぱいに使い、闘志をみなぎらせる取り口に、ファンが寄せる期待は大きい。「横綱は誰にでもなれるものではない。1日1日を努力して、それがいい結果につながればいい」。胸のすくような活躍を期して、初夏の名古屋へ挑む。(共同)