大相撲の野球賭博問題の実態を解明するため、警視庁は7日、賭博開帳図利などの疑いで、阿武松部屋(千葉県習志野市)や、時津風部屋(東京都墨田区)、宮城野部屋(同区)など関係先の家宅捜索を始めた。名古屋場所を控えた愛知県内の各相撲部屋の宿舎など、捜索先は数十カ所に上る見通し。

 野球賭博問題は、日本相撲協会を解雇された元大嶽親方や元大関琴光喜関ら関与した力士、元力士らの立件に向け、大きな節目を迎えた。

 警視庁は資料を押収して暴力団の関与など全容解明を進めるとともに、力士らについても、常習性や賭け金の額などを考慮し、賭博容疑での立件を検討している。

 阿武松部屋は力士ら多くの関係者が関与、野球賭博の中心とされる。胴元として暴力団が関与していたことを示唆した元力士(34)が所属、部屋の床山(29)が仲介役だったことも判明した。元大嶽親方や元琴光喜関は阿武松部屋を通じて野球賭博をしていたとされる。

 また宮城野部屋には横綱白鵬が所属しており、トレーナーが賭博の仲介役だったほか、横綱の付き人を務める幕下力士も関与したとされる。

 警視庁は6月、元琴光喜関から野球賭博の口止め料350万円を脅し取ったとして、恐喝容疑で元力士古市満朝容疑者(38)を逮捕している。

 日本相撲協会は4日、元大嶽親方と元琴光喜関を解雇。現役時代に野球賭博に関与した時津風親方や、複数の弟子が野球賭博に関与した阿武松親方の降格処分を決めた。野球賭博をした力士24人のうち、解雇の元琴光喜関のほか18力士が謹慎処分で、名古屋場所に出場できない。