大相撲の野球賭博事件で、賭博の仲介役とされる阿武松部屋の元力士(34)らが管理する銀行口座に、野球賭博の収益や「勝ち金」の払い戻しとみられる多額の出入金があったことが8日、関係者への取材で分かった。

 元力士は、これまでの警視庁の任意の事情聴取に「自分の背後に実質的な胴元として暴力団関係者がいた」と供述。指定暴力団山口組傘下の組が関与していたことも示唆しており、警視庁は金の流れや背後関係を調べている。

 警視庁は、元力士らが賭博の仕切りを担う胴元側の人物だったと位置付け、賭博開帳図利容疑で8日も、八角部屋(東京都墨田区)や北の湖部屋(江東区)など数カ所を家宅捜索した。

 また野球賭博に関与した一部の力士らが、仲介役とやりとりしたとみられる携帯電話のメールを削除していたことも判明。警視庁は、これらの携帯電話を押収し、通信記録の解析を急ぐ。

 関係者によると、元大関琴光喜関や元大嶽親方(元関脇貴闘力)は、阿武松部屋の床山(29)らを通じて野球賭博をしていたとされるが、主に賭博を仕切っていたのは元力士だったという。

 野球賭博は、原則として週に1回精算し、力士らは1口数万円から数十万円の賭け金を元力士らが管理する口座に振り込んでいた。予想が的中した場合、勝ち金を口座振り込みや現金で、元力士らから受け取っていたという。

 警視庁は7日、賭博開帳図利容疑で、阿武松部屋や時津風部屋など野球賭博に関与した力士らが所属していた相撲部屋などの一斉捜索を始めていた。