<大相撲秋場所>◇千秋楽◇25日◇東京・両国国技館

 大関の座をつかんだ関脇琴奨菊が優勝争いにも絡み、熱気あふれる千秋楽で幕を閉じた。

 父の菊次一典さん(56)は福岡県柳川市から国技館に駆け付けた。初優勝を目指して大関把瑠都に挑む息子に、琴奨菊を角界に導いた祖父一男さんの遺影を向けた。上手投げに屈した取組に、何度もうなずいて手をたたき「よく頑張った」と涙をぬぐった。

 優勝こそ逃したが、11月の地元九州場所で大関に昇進する。それは一男さんや琴奨菊を部屋にスカウトした先代佐渡ケ嶽親方(元横綱琴桜=故人)の悲願だった。2人は「この子は大関になれる」が口癖。一典さんは「現親方(元関脇琴ノ若)から『先代にいい報告ができます』と言われた。私も父に報告しますと答えました」と笑った。

 東京での本場所は八百長問題の影響で1月の初場所以来。日本人大関の誕生は相撲ファンも心待ちにしていた。この日は午後3時半に今場所初の札止めが出た。東京都江東区の会社員金丸誠さん(43)は「日本人力士のいいところが見られれば、関心は戻る」と話した。