大相撲の夏巡業は8日、茨城県石岡市の「石岡・小美玉場所」で始まり、朝稽古で関脇以下の力士は新たに、あらかじめ相撲相手を決めて申し出る「申告制度」が導入された。

 従来は、一番ごとにその場で自由に名乗り出る申し合いだったが、2人で取り続ける三番稽古や、3、4人でグループをつくる申し合いに変わった。横綱、大関を除き、土俵に上がらない力士は土俵回りに集まらなくてよしとし、見栄えが悪かった“ただ立っている”だけの力士を排除した。

 尾車巡業部長(元大関琴風)は「体が痛い者が土俵回りに立って、ダラダラした稽古を見せるのは良くない。稽古をしない者がサボっているとは思わない。できないのは何らかの異常があるからだと思っている。万が一、サボっていても、自然と淘汰(とうた)されていくのがこの世界。必死で稽古した顔ぶれは立派になっているし、デレッとした稽古をしていれば落ちていく。やる気がある者が土俵に来た方が、お客さんにもいい稽古を見せられる」と意図を説明した。

 この日、土俵回りに集まった力士は十数人で、寂しさはあるものの、観客からは稽古が見やすくなる利点もあった。秋場所(9月14日初日、東京・両国国技館)での三役復帰が確実な豪風(35=尾車)は、1番手で宝富士(27=伊勢ケ浜)と計11番の三番稽古を行い「中途半端にやるより、集中してできるこの方がいい」と賛同した。

 その後も常幸龍(25=木瀬)や栃乃若(26=春日野)、高安(24=田子ノ浦)の申し合いを行い、大関稀勢の里(28=田子ノ浦)がこの3人と順番に相撲を取った。

 ただ、不慣れなこともあって最後は時間が余り、大砂嵐(22=大嶽)と照ノ富士(22=伊勢ケ浜)が急きょ稽古する一幕も。横綱白鵬(29=宮城野)は「(従来の申し合い方式と)両方やればいいんじゃないか。ベテランはベテラン、元気者は元気者でなどと分けて、最後は申し合いから横綱に胸を借りるとか」と提案していた。