賭博問題で揺れる日本相撲協会は4日、名古屋市内で臨時理事会と評議員会を開く。野球賭博に関与した大関琴光喜(34=佐渡ケ嶽)大嶽親方(42=元関脇貴闘力)らの処分決定日を前に、3日は“臨時理事会”を愛知県体育館で行った。琴光喜の処分軽減を求める声が却下され、大嶽親方と琴光喜はともに「解雇」になる見込み。13親方が「謹慎」となるため、場所運営も打ち合わせた。2日に花札賭博を公表された横綱白鵬(25=宮城野)は無言を貫いたが、白鵬と同じく軽微の賭け事をした力士の名前が公表される可能性が出てきた。

 腰の重い角界が、珍しく素早かった。賭博問題についての臨時理事会は4日。「長い1日」を予想して、3日は愛知県体育館に武蔵川理事長(元横綱三重ノ海)らが続々と集まった。村山弘義(元東京高検検事長)吉野準(元警視総監)の外部役員2人を除く理事会メンバー。特別調査委員会(調査委)座長も務める伊藤滋外部理事(早大特命教授)と調査委の望月浩一郎弁護士も加わった。

 二所ノ関理事(元関脇金剛)が「理事会じゃないでしょ。集まっているメンバーは理事だけど」という“臨時理事会”は、2日に決まった。まずは調査委が2日の会合を報告。討論の中心は、野球賭博に関与した大関琴光喜だった。すでに6月28日に「解雇以上」が決定。ただその後に大嶽親方の罪をかぶっていたことが判明し、一部から「幕尻からの現役続行」「(退職金の出る)引退は」と処分軽減の声が上がった。

 結果的には琴光喜が当初、野球賭博関与を否定した「ウソ」が重く見られた。ある理事は「同情できる部分もあるが、やはり大関の責任がある」と説明し「解雇になる方向」と明かした。大嶽親方も「解雇」、同じく野球賭博関与で「懲戒以上」が決まっている時津風親方(元前頭時津海)は主任から平年寄へ「降格」し、5年間据え置かれる見通しだ。

 4日の評議員会後から13親方が「謹慎」に入る。そのため場所運営についても話し合い、九重審判部長(元横綱千代の富士)の代わりに、同じ高砂一門の中村副理事(元関脇富士桜)が審判長を務めることなどが決まった。また、2日に横綱白鵬だけが「花札賭博」を明かされたこともあり、伊藤理事は「花札やゴルフの賭け事経験者の氏名も公表したい」と訴えたという。

 臨時理事会への“臨時理事会”は約3時間で終わった。武蔵川理事長は「明日になれば分かります」と、つぶやいた。本番の4日の理事会では村山外部理事の「理事長代行」が決まり、名古屋場所のチケット払い戻しも検討する予定。名古屋場所初日まで、あと1週間。土俵に集中できる日が来るのは、まだまだ遠い。