<大相撲九州場所>◇2日目◇15日◇福岡国際センター

 大波乱の結びの前は、大技が飛び出した。大関把瑠都(26)は、阿覧(26)に背中から食いつかれる厳しい体勢。ここから「エストニアの怪人」の本領発揮だった。左手で肩越しに上手をつかむと、後ろに倒れながら156キロをぶっこ抜くように投げ飛ばした。把瑠都も背中から落ちたが、阿覧の脳天が先に落ちた。決まり手は珍しい「はりま投げ」。「頭のコーンという音がしたから、勝ったかなと」と表情を崩した。

 「出足がうまくいかなかった。四つに組みたくなかったね」。突き放しにいくが、何度もいなされ体勢を崩す。後ろにつかれたときは「どうしたらいいのか分からない」とプチパニック。しかし、自慢の怪力で危機を打破した。「(最後は)柔道ですね。運がよかった」と笑いが止まらない。

 「横綱候補」と期待されたが、大関昇進後の3場所で10勝が最高だ。「大波乱」と「幸運」は、把瑠都にチャンスをもたらした。「優勝争いがおもしろく?

 うん頑張って。これで1つ目標を持って」と初優勝を見据えて白い肌を紅潮させていた。