<バレーボール:全国高校選抜優勝大会:雄物川(秋田)2-1都城工(宮崎)>◇5日目◇24日◇東京・代々木体育館◇男子準々決勝

 雄物川が前回優勝の都城工に逆転勝ちし、秋田県勢としても最高タイとなる、8年ぶり2度目のベスト4進出を果たした。前半こそ苦しんだが、後半に実力を発揮し突き放した。

 雄物川が見事に劣勢をはね返した。第1セットを奪われ、第2セットも先行される苦しい展開。だが驚異的な粘りで逆転すると、第3セットは各プレーを面白いように決め、大差でケリをつけた。勝利の瞬間、選手たちは跳びはね、歓声を上げた。

 立役者は主将でエースの細川卓弥(2年)。後半、スパイクを打ちまくり得点を稼いだ。セッターの小西宏明(2年)とは、十文字中からのチームメートで、息もピッタリ。小西は「どんなトスを上げても細川は決めてくれた。セッターとしてうれしい」と笑顔だ。

 16年連続16度目の出場で大会通算25勝目。そのすべてにかかわってきた宇佐美義和監督(58)の指示が、前日の別府鶴見丘(大分)戦同様、試合の流れを変えた。「前半は相手の攻撃にブロックが合っていない」と技術面を指摘。精神面でも「逃げるな!

 攻めろ!」と鼓舞し続けた。

 宇佐美監督は08年4月から雄物川の校長でもある。規律や生活態度から厳しい指導を続ける。「規律を破った者は、その時点で『負け』」という。「選手たちは細川を筆頭に、人間的にも成長してきた。今大会でベスト4はいけると、実は思っていた」と選手たちへの信頼を口にした。

 細川は「目標のベスト4を達成してうれしい。明日も自分たちのバレーをするだけ」ときっぱり。26日は宇佐美監督の、59歳の誕生日。選手たちが恩師の誕生日プレゼントに突き進む。【北村宏平】