日刊スポーツ評論家の谷繁元信氏(48)がソフトバンクのキャンプを訪問。イレギュラーな練習メニューに強さの源泉を見た。

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ソフトバンクの練習メニューを見てほしい。ここまでクールの中日以外は午前中はボールを握らず、すべて走るメニューを組んでいる。

通常は技術練習後に行うが、どうしても終盤は疲れて抜きがちになる。本来は走って負荷をかけた後に下半身主導で技術を反復することが身になる。私も中日監督時代に最初に走るメニューを持ってこようとしたが、投手陣のブルペン入りの兼ね合いもあり、定着できなかった。

工藤監督は昨季の故障者の多さを振り返り、取り入れたのだろう。この時期の走り込みの貯金も、5月ごろに最初の疲れのピークが来て、尽きてしまう。キャンプで追い込んでおくことで、5月以降にまた走り込むことができる。

近年は選手もキャンプ前に自主トレを入念に行うため、実戦の時期も以前より前倒しされている。だがユニホームを着て行う練習の負荷は、ジャージーの何倍もかかる。実際に現役時代に準備万全でキャンプに乗り込んでも、初日、2日目は体が張った。だから首脳陣が主導してキャンプで走り込ませるのは大事なことだ。

トレーニングも科学的になってきているが、基礎的な体力づくりと融合させることでシーズンを戦いきることができる。(日刊スポーツ評論家)