打撃ケージに入る中日根尾(中央)を見つめる桧山氏(右)。左は小笠原2軍監督(2019年2月12日撮影)
打撃ケージに入る中日根尾(中央)を見つめる桧山氏(右)。左は小笠原2軍監督(2019年2月12日撮影)

「根尾効果」の与田中日に要警戒だ! 日刊スポーツ評論家の桧山進次郎氏(49)が沖縄・読谷の中日2軍キャンプに潜入。ドラフト1位・根尾昂内野手(18=大阪桐蔭)の打撃練習をチェックした。プロ1年目から1軍の戦力になるのか。注目ルーキーを分析し、虎のライバル球団の今季を予想した。【取材・構成=田口真一郎】

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桧山氏は12日に沖縄・読谷のキャンプ地を訪れた。2軍でしかも平日にもかかわらず、約550人のファンが集まっていた。あいさつを交わした小笠原2軍監督は驚きの声を上げた。「ファームで、こんなのはないですよ」。桧山氏も大きくうなずき、根尾の存在感を肌で実感した。

「これだけのお客さんを呼べるということ自体、モノが違う。タイガースで言えば、藤浪もそうだが、甲子園で負けていない選手。スターだね」

室内練習場、メイン球場の両方で打撃練習をチェック。正確に白球をとらえる姿に、思わず見入った。

「8割ぐらいを芯に当てて、それだけでなく、ヒット性の当たりが打てる。やはり非凡なセンスを感じた。フォームは何の欠点もない。素直にバットで出て、柔らかい。バットコントロールも良さそうだ。高校時代にレベルの高い投手から打っている。対応力がないと、結果は出ない」

桧山氏は完成度の高さにうなった。開幕1軍の可能性はあるか。現在は右ふくらはぎの肉離れのリハビリ中で調整は遅れている。

「私も経験しているが、ふくらはぎの肉離れは癖になる怖い場所だ。開幕まで1カ月半あるので、間に合うとは思う。ただし、間に合わそうとするのは、避けた方がいい。体と相談しながら、ゆっくりやった方がいい結果が出るだろう」

それではシーズン全体を通し、根尾は1年目から戦力になるか。桧山氏は条件付きながら、その可能性を認める。

「確かに打撃は非凡だ。守備が通用するかはまだ分からない。打てなくても、他の選手がカバーしてくれるが、守備はチームプレー。無理に使うと、チーム内の不協和音が生まれかねない。1軍のレベルにあれば、上で使ったほうがいい。仮に打率2割2~3分でも誰も文句は言わない。その経験が2年目以降の飛躍に間違いなくつながる」

低打率でも1軍で起用すべき。そこに「根尾効果」を見る。昨年は松坂の加入で観客動員がアップした。近年はスター不在が課題だっただけに、根尾がナゴヤドームでプレーすれば、連日満席も夢ではない。

「お客さんが入れば、選手も張り切る。相手球団も戦いにくくなるよ」

マツダスタジアムのような熱気が名古屋でも生まれれば、脅威になる。ただでさえ、阪神は苦手としている球場だ。さらに今季から首脳陣を刷新。与田監督とは00年のチームメートで、今も交流がある。いかなる野球に変貌するのか。

「すごく冷静に物事を判断される方だった。故障の経験もあり、体のことも熟知している。選手の気持ちを分かった上で采配を振るでしょう。我慢強く、チーム作りに取り組まれるのでは。弱かった攻撃力が昨年、上がった。主軸がしっかりとして、機動力も生かせる。攻撃力はAクラスだ。後はバッテリーだけ。13勝のガルシアが抜けたのは痛い。そこを整備できれば、かなり怖い相手になる」

6年連続Bクラスからの脱却へ球団挙げて本腰で動いている。「根尾効果」でチーム全体が活気づけば、矢野阪神の強力なライバルになる。(日刊スポーツ評論家)

<中日の布陣候補>

捕手 大野奨、松井雅、加藤

一塁 ビシエド

二塁 堂上、亀沢

三塁 高橋、福田

遊撃 京田、根尾

左翼 アルモンテ、モヤ

中堅 大島、滝野

右翼 平田、藤井

先発投手 小笠原、又吉、柳、松坂、吉見、大野、山井、笠原、勝野、小熊、ロメロ

中継ぎ投手 田島、谷元、岡田、福谷、佐藤、梅津、祖父江、鈴木博、ロドリゲス、木下雄

◆中日の布陣 今季への補強は新外国人左腕のロメロとドラフト入団選手だけ。ビシエドの守る一塁以外は混沌(こんとん)としている。内野では残り3つのポジションを京田、堂上、ともに初の規定打席に到達した福田、高橋、そこに亀沢、ドラフト1位根尾らが競い合う。先発陣は山井らベテラン勢への期待が高くなる。ロメロは未知数。中継ぎ陣への負担を考えると、完投能力の高い大野雄に続く、若手の先発投手の台頭が待たれる状況だ。

フリー打撃を行う中日根尾(2019年2月11日撮影)
フリー打撃を行う中日根尾(2019年2月11日撮影)