交流戦は初顔合わせの投手に対して、打席でどこまでアジャストできるかが試される。両先発は、先発に転向してまだ3試合目の巨人桜井と、1軍登板が通算でも12試合目のオリックス・K-鈴木だった。

初対戦の投手に対し、打者は後手に回ると打ち取られる。同点2ランと勝ち越し打を放った巨人丸は先手を打った。左飛に倒れた第1打席はカーブを、右飛の第2打席はフォークを、いずれも初球から振った。振りながらタイミングを合わせていき、次打席でファーストストライクを本塁打にした。見ていくよりも、自分から攻めていく打撃ができていた。

先制三塁打のオリックス大城にも当てはまる。1打席目はストレートの四球だったが、2打席目、3打席目とファーストストライクを振って安打につなげた。できることをやった結果としてのヒットだった。

初めての相手に初球から振る能力は、国際大会にも通じる。この日は東京オリンピック(五輪)のチケット当落でにぎわっていた。五輪やWBCも決勝トーナメントに進めば一発勝負。“初もの”に弱いことは最大の欠点になる。現役時代は、初対戦の投手の打席は国際大会のリハーサルと思って立っていた。シーズンを通しての成績も大事だが、初めてだから打てないでは話にならない。

21日からは交流戦最終カード。巨人はソフトバンクに勝ち越さなければ優勝はない。相手先発のエース千賀とは3年ぶりの対戦になる。今回のように、どこまで積極的に打ちにいけるかが、優勝争いのカギになる。(日刊スポーツ評論家)

巨人対オリックス 8回裏巨人2死一、二塁、右越え2点適時三塁打を放つ丸(撮影・横山健太)
巨人対オリックス 8回裏巨人2死一、二塁、右越え2点適時三塁打を放つ丸(撮影・横山健太)