菅野が本当に万全のコンディションであるなら、このような投球内容になるはずがない。制球力が持ち味の投手が初回からコントロールに苦しんだ。得意のスライダーやカットボールが高めに浮き、明らかなボール球になっていた。立ち直りを期待した2回も、いきなり先頭のピッチャーを歩かせる始末。大事な試合でエースにあれをやられては、原監督としても代えざるをえなかったのだろう。

福田に先頭打者アーチを打たれた場面、捕手の炭谷は内角に構えていた。だが直球が逆球になり、やや外に入ったところを完璧に捉えられた。あの打席で炭谷はインコースを中心に組み立てていた。だが要求通りに内角に投げられたのはファウルされた2球目のカットボールだけだった。

福田は、21日の同戦で左腕森福の緩い真ん中スライダーを右翼席へ代打満塁本塁打。22日も沢村の外寄り151キロ直球を右翼線への適時二塁打とした。非常にバットが振れており、しかもリーチがある。福田のような打者には内角をどんどん攻めなければ厳しい。初回は守備にも足を引っ張られてかわいそうな部分もあったが、あの4点で勝負が決まってしまった。

それにしてもソフトバンクの層の厚さには感心する。レギュラー陣があれだけ故障しているにもかかわらず、福田らが躍動して、その穴を感じさせない。逆に巨人はこの試合のない5日間で菅野がコンディションを上げていかないと後半戦は不安だ。(日刊スポーツ評論家)