5日からDeNAとのCSファーストステージに臨む阪神に、85年日本一監督で日刊スポーツ客員評論家の吉田義男氏が、初戦の重要性を説いた。

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阪神にとっては、初戦がすべてでしょうな。1つ勝てば、次も勝てます。レギュラーシーズンで大きく勝ち越しているDeNAだけに投打にわたって負の要素は見当たりませんがな。

シーズン終盤の戦い方のように、僅差で「リリーフ勝負」に持ち込みたい。ということは、1点でもリードし、中継ぎ、抑えのピッチャーを惜しみなくつぎ込んでいくことです。

よくデータを持ち出されるけど、短期決戦は「データ」より「眼力」に左右される。例えば対戦成績がいいといっても、打線はその前後の打者の調子にもよるし、試合の流れを読みつつ、いかに監督がその選手の見極めるかが得失点につながっていく。

今季のセ・リーグは、どのチームも決め手を欠いた。巨人は不思議な優勝だったし、広島が自滅、DeNAが2位にはなったが、強さは感じられなかった。

そこを、あれよあれよと勝ち抜いたのが阪神でした。本当の実力がついたかといえば「?」だが、勝率5割を超えたばかりか、CS出場の権利をつかんだのだから、よくやった。300万人を集客したファンの力が大きく、またそこまで選手は思っていないだろうが、亡くなった伝説の名投手バッキーの後押しもあったと思っている。

CSでは近本ら若手が中心で経験の浅いといわれるが、それもプラスにしたい。4月9日DeNA戦、梅野がサイクル安打を決めるなど、大逆転勝利をした印象が強いから負ける気がしませんな。

CSファイナルステージで待つ巨人だって、阪神が勝ち上がってくることを怖がってるはずですわ。(日刊スポーツ客員評論家)

フリー打撃を行う近本光司(撮影・清水貴仁)
フリー打撃を行う近本光司(撮影・清水貴仁)