両チームがすでに決勝進出を決めていた16日の試合とはうって変わり、張り詰めた雰囲気のいいゲームになった。ベンチを見ても緊張感を欠いたような笑いはなかったように思う。その中で日本野球が持つ緻密さが韓国を上回った。

ターニングポイントは1回に鈴木の適時二塁打ですぐに1点を返せたこと。そして稲葉監督が先発山口にスパッと見切りをつけ、2回から継投策に打って出たことだ。2番手高橋礼から守護神山崎まで、気持ちのこもった素晴らしいボールで監督の期待に応えた。

山田哲の逆転3ランで1点をリードしてから、見ていても緊張感が伝わってくる好ゲームとなった。これが国際大会の醍醐味(だいごみ)だ。韓国打線を抑え込んだ救援陣と各投手の良さを引き出した会沢のリードには素直に拍手を送りたい。タッチアップを狙った走者を二塁で刺したり、三振ゲッツーを奪ったりした守備も含め、守りの差が勝利を引き寄せた。

一方、韓国は3~5回に先頭が出た後、続く打者が簡単に倒れて好機を生かせなかった。バントや足を使うなど、あらゆる戦法を駆使して相手投手にプレッシャーをかけるような緻密さが欠けていた。

久々に世界一の座につき、次は来年の東京五輪だ。今大会でブルペン陣は世界に誇れるレベルにあることが分かった。後はしっかりした先発がそろえば、金メダルも見えてくる。(日刊スポーツ評論家)