楽天が15日、沖縄・金武キャンプでヤクルトと練習試合を行った。18年以来2年ぶりに先発に再転向した松井裕樹投手(24)は、ニュースタイルで2回無安打無失点。上々の滑り出しを見せた。

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先発した楽天松井について、チェックしたい点は明白だった。カウントを整える球でフォームがぶれずに投げることができるか。初回を見て、その点にまだ課題があることが見てとれた。

クローザーだった松井は、しっかり力を込めた時には威力ある球を投げる能力がある。それが先発になれば、6回、7回を投げるために全球を全力投球はできなくなる。カウントや試合状況に応じて、力をそこまで入れなくても、ある程度威力ある球を投げる安定感が必要になってくる。

この日の投球を見て、その点の強化、修正が必要なことがはっきりしたが、それは当然。力の入れ加減をある程度コントロールできるようになれば、試合をつくる投球とペース配分が見えてくるだろう。松井自身、フォームがぶれて思ったボールがいかなかったことはこの日の投球で自覚したと感じた。松井なら十分に克服できる課題だけに、今後の取り組みに注目したい。

楽天における松井の先発挑戦は、ノーリスクハイリターンだ。たとえ先発転向がうまくいかなかったとしても、抑えに戻ればいいだけのことだ。逆に先発としてはまれば則本昂、岸、涌井という厚い先発陣に、左が1枚加わる。後ろは新加入の牧田などが控えており、十分に対応できるだろう。松井の先発転向でチームは失うものは何もない。チャレンジする価値は十分にある。(日刊スポーツ評論家)

楽天対ヤクルト 2回を投げ終えた楽天松井(右)は岡島と引き揚げる(撮影・滝沢徹郎)
楽天対ヤクルト 2回を投げ終えた楽天松井(右)は岡島と引き揚げる(撮影・滝沢徹郎)